【クリエイター向け】Apple M1は最強ではない3つの理由

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Apple M1搭載のMacが発売されて以降、これが最強ならこれを買っておけば大丈夫でしょう!と言う声がちらほら聞こえてきます。

「そんなにすごいのなら自作PCをやめて、Apple M1搭載のMacを買おうかな」

と思っている方もいるでしょう。

待ってください!

それはモバイル用途での話です。

Appleが発表したApple M1 Mac製品群。MacBook AirもMacBook Proも同じM1を搭載しています。動画編集ができる圧倒的なパワーと省電力構成で、従来の製品の倍もバッテリーが持つというのは、モバイル最強クラスです。ですが、それはモバイル最強クラスでしかありません。

そして、モバイル最強クラスと言っても最速のCPUではありません。

一般用途では十分かもしれませんが、クリエイター界隈のようなスペックを要求する作業をしたい方はちょっと待ってください。

【クリエイター向け】Apple M1は最強ではない3つの理由

Apple M1って?

Apple M1はCPU、RAM、GPU、コントローラーなどを一つのチップにまとめた「SoC」と言われるものです。「SoC」はスマホなど小型の端末に使われています。

Apple M1のスペック

プロセス5nm
CPU0.6GHz〜3.2GHz 4+4コア
RAMDDR4 4266MHz 8 or 16 GB
GPU8コアまたは7コア
TDP15W

どんなに高負荷の処理をしても熱くならないのがApple M1の特徴です。そして、熱が出ないためファンレスのMacBook Air、ファン入りのMacBook Proと棲み分けましたが、実際の性能にどれほど違いが出るのかわかりません。

 Apple M1(SoC)は

  • 高効率コアが4つ
  • 高性能コアが4つ

 という組み合わせでできています。

高性能コアとはパフォーマンスを飛躍的にアップさせるコアです。
高効率コアとは小さな電力でも動かすことができるコアです。

これが省電力でも長時間使える理由なんですね。

省電力性能がすごいのはわかりました。でも、クリエイターが必要なのは実際の処理能力性能です。どれくらいの性能があるのでしょうか?

1.CPU性能はモバイルで見てもそれなり

性能が絶賛されているM1ですが、他のモバイル向けプロセッサと比較しても突出して性能が高いわけではありません。

Wccftechでの記事では、M1が最新の5ナノメートル(nm)というプロセスで製造されているのにもかかわらず、旧世代の製造プロセスであるAMDの7nm、Intelの10nmまたは14nmで製造されているチップに負けている事が指摘されています。

同メディアがその根拠として挙げているのが、CPUベンチマークソフトCinebench R23のベンチマーク結果です。M1チップ(4+4コア、3.2GHz)のシングルコアは1,498で、Intel Core i7 1165G7(4コア8スレッド)のスコア1,504を下回っています。(シングルスコアは上回る記事もあるがほとんど同じくらいの性能です)。

Source:Wccftech

マルチコアではM1チップ(4+4コア、3.2GHz)が7,508で、AMD Ryzen5 4600U(6コア12スレッド)の8,044を下回っています。

Source:Wccftech

Source:Wccftech
(lunatic)

シングルスコアではIntelチップのスコアと同じくらい、マルチスコアではAMDチップのスコアを大きく下回ります。悪くはありませんが絶賛するほどでもないです。

そもそもモバイル向けの性能

消費電力の違うデスクトップ向けCPUと比較するのも酷ですが、クリエイター用途に使うPCであれば高性能なデスクトップ向けのCPUを選んだ方がいいです。

Cinebench R23(数字は参考程度・マルチスコア順)

プロセッサマルチスコアシングルスコア
AMD Ryzen5 26007,2201,024
Apple M17,7601514
Intel Core i7 87007,9691,146
Intel Core i7 97008,5401,181
AMD Ryzen7 27008,9471,057
AMD Ryzen5 36009,4121,253
AMD Ryzen5 3600X9,5881,286
AMD Ryzen7 3700X12,3551,294
Intel Core i9 9900K12,4501,284
AMD Ryzen7 5800X15,2451,594
Intel Core i9 10900K17,3251,418
AMD Ryzen9 5950X28,6411,639
cpu-monkey.com参照

シングル性能は最新世代のため頑張っていますが、マルチ性能はコア数の少なさもあって古い世代に近いスコアです。現行のデスクトップCPUは疎か、旧世代のIntel Core i7 8700にも及びません。マルチ性能は最新世代のミドルクラスの性能しかありません。

もし、8コア全てを高性能コアにしてデスクトップ版のCPUと同じようにTDP 65W以上にしたら本当に化け物スペックになりそうです。

2.内蔵GPUが非力すぎる

モバイル向けではゲーミングノートPCを除けば最強クラスの性能です。ですが、デスクトップ版ではGeForce GTX1050TiやRadeon RX560といった旧世代のエントリークラスを少し超える程度の性能でしかありません。

そして、残念ながら現在のApple M1搭載Macは外部から接続するeGPUをサポートしていないので改善することができません。

電力や廃熱設計に制約のないデスクトップ向けGPUに性能で勝てないのは無理もありません。現行モデルのミドルクラス以上、GeForce GTX1660TiやRTX2060S、Radeon RX5700でも段違いに高性能アップできるので、GPU処理を使う場面ではデスクトップ向けGPUの方が快適に作業することができます。

3.RAMがプロセッサに内蔵されている

RAMをプロセッサに内蔵し、物理的に距離を近くする事によってレイテンシー(遅れ)を少なくして高速にデータ処理ができます。反面、RAMの増設ができないことを意味します。

問題は、現状では8GBまたは16GBしか選択できないことです。

プロでは16GBでは足りない方たちがそれなりにいます。

例えば、映像、3D、アニメ、DTM関連の作業では16GBでは足りないのです。32GB以上の構成にしたくてもできないのはデメリットです。

現行モデルのMacProでRAMを1TB搭載できることを考えると何らかの方法で解決してくれそうですね。

まとめ

CPUと内蔵GPUがこれだけの性能になったのはすごいです。モバイル用途ではバランスのとれた良い製品です。

それでも、消費電力に制約がなくパーツが別々で無理なく設計されているデスクトップPCにはまだまだ勝てていないのが現状です。もし、Apple M1搭載のMacを検討している方は自分のやりたいことに性能が足りているのか、もう一度確認してみてくださいね。

ローエンド向けでこの性能ですし、ハイエンド向けのMac製品はまだ置き換わっていません。これから出るであろう新しいSoCがどうなるのか楽しみですね。

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