普段何気なく使っているPDFですが、実は何度もバージョンアップしています。そして、その都度機能が少しずつ増えてきました。ですが、バージョンなんて意識せずに使っている人が大半だと思います。
そもそも、PDFにバージョンがあるなんて知らなかった!!
という方が多いのではないでしょうか。
バージョンを意識せずに使えるファイル形式なのでとても使いやすいのですが、契約書や入稿データで扱うことの多いPDFについてこの機会にもっと詳しく知ってみるのはいかがでしょうか。
PDFにバージョンがあるって知ってた?入稿にはコレ!
PDFはみなさん御用達おPhotoshopでおなじみのAdobeが開発し、2008年にはスタンダードな文書共有フォーマットになりました。その間に何度もバージョンアップしていて、たくさんの機能追加が行われています。
簡単に表にまとめたものが以下になります。
バージョン | Since | 主な機能 |
1.0 | 1993年 | |
1.1 | 1994年 | パスワード、暗号化、リンクなどが追加 |
1.2 | 1996年 | 日本語に対応 Unicodeに対応 チェックボックスや記入フォーム(Acroform) 外部ムービーの再生、外部、添付の音声再生 テキストや画像の圧縮 色管理と代替画像のサポート |
1.3 | 2000年 | 日本語フォントの埋め込みに対応 電子署名、ICC及び各種機能強化 |
1.4 | 2001年 | JBIG2に対応 透明効果、OpenTypeフォントに対応 エクスポート時のUnicode対応 暗号化の強化など、各種機能強化 |
1.5 | 2003年 | JPEG2000に対応 マルチメディアファイルに対応 リッチテキストに対応 |
1.6 | 2004年 | 3Dアートワークの表示 |
1.7 | 2006年 ~2011年 | 各種機能強化 その後、1.7をベースにAdobe Extension Level 1~8として機能追加される |
2.0 | 2017年 | PDF 1.7の仕様を国際規格で標準化 |
こんなにアップデートを重ねてきていますが、必ずしも最新版がいいとは限らないのがPDFの厄介なところです。
おすすめは PDF 1.7
PDF1.4以上であれば問題ないですが、暗号化が強化されたPDF1.7でも対応しているところは多いのでPDF1.7がいちばん無難ですね。
互換性重視なら PDF 1.4
セキュリティよりもとにかく互換性重視という方は、PDF1.4がおすすめです。
ほぼすべてのPDF閲覧ソフトで表示可能なため、不要なトラブルを避けることができます。
PDF 2.0はダメなの?
国際規格で標準化されたPDF2.0ですが、制定年が2017年と比較的新しく古いアプリケーションでは開くことができません。
それに完全上位互換ではなく、PDF1.7の機能でPDF2.0では使えなくなる機能が多いことも移行の妨げになっています。
「Adobe Acrobat Reader」が無償で配布されているので、中身が確認できないという事態は避けられます。
いずれPDF2.0が普及するかもしれませんが、現状ではPDF1.7の方が安心できるのでおすすめです。
印刷に適したPDFがある!?
PDF/X というファイル形式です。
印刷に適しているファイル形式で、通常のPDFよりも印刷制度が高いのが特徴です。圧倒的にファイルサイズが大きくなります。
PDF/Xの主な仕様(一部のみ)
- 全てのフォントは埋め込まれていなければならない。
- 全ての画像はファイルに埋め込まれていなければならない。
- 断裁の位置(トリム)と断ち落としの位置(ブリード)の指定が必要です。
- 暗号化などのセキュリティ情報は禁止されています。
- マルチメディア情報(音楽や映像など)やスクリプトは含めることができない。
PDF/Xの主なバージョン
バージョン | 主な機能 |
PDF/X-1a | CMYKと特殊色のみの色空間に制限 |
PDF/X-3 | RGBやICCベースの色空間に対応 |
PDF/X-4 | 透明情報を含めることができる |
とバージョンアップしていますが、これも最新バージョンが良いというわけではないので注意してください。
イラストの入稿時などは、このフォーマットで印刷会社指定のバージョンで入稿するのがおすすめです。
ほかにもたくさんあるPDFの種類
先に印刷物に適したPDFを紹介しましたが、PDF/Xに限らず他にも用途に合わせて様々なバリエーションのPDFがあります。クリエイターの方は特に使うことは無いと思いますが一応こんなのがあるよ程度に紹介しておきます。
PDF/A 2005年-
電子ドキュメントの長期保存を目的としたファイル形式です。
PDF/E 2008年ー
CADデータなど複雑な3次元データを扱う際に使います。
PDF/VT 2010年ー
可変データやトランザクション文書を扱う際に使います。
PDF/UA 2012年ー
ユニバーサルアクセシビリティへの対応を目的としてたファイル形式です。視力や運動能力に障害のある人にも利用できるように特化したものです。
その他
PDFdES
PDF/raster1.0
などがあります。
まとめ
意外と知らなかったと思いますが、書類を送るときや入稿する時など、用途に合わせて選べると便利ですね。
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