よくわからないけどなんとなく良さそうと言うだけで買っている人もいるのではないですか?
これってワイヤレスイヤホンのデメリットで気になる人も多い音質や遅延、接続安定性に関係あるんです。
これらはオーディオコーデックといって色々な方式が規格されていて、製品ごとに採用されるオーディオコーデックが異なっているので、結局何を言っているのか分からないって人も多いはず。
でも4つだけ覚えればいいのです!
せっかく高いイヤホンを買ったのに低音質なコーデックで聴いていたり、遅延するからゲームは有線イヤホンをしぶしぶ使う、なんてことにならないためにも最低限知っておいて損はないですよ。
たくさんあるけど、覚えるものはたった4つ!
SBC、AAC、AptX 、LDACこれだけです。
そもそもコーデックってなに?
Bluetoothで音声データを送るときのデータ圧縮方式のことです。
なぜコーデックが必要なのかというと例えば、音の情報をそのままBluetoothで送ろうとすると、データ量が大きくなってしまうため音のデータを小さくして送ることが必要でした。そのため圧縮方式が採用されています。その圧縮方式も時代とともに進化してきたため増えています。
スマートフォンで例えると、iPhoneはSBC、AACという圧縮方式対応していてAndroidはSBC、AAC、aptXに対応しているモデルが多いですがそれよりも新しいコーデックが出てきているためややこしくなっています。
しかも、新しいコーデックがいいかと言えばiPhoneで音楽を聴くとほとんどの場合AACで繋がりますし、Androidでは基本的にはSBCで繋がりますが、スマートフォンとワイヤレスイヤホン双方が対応していればより高音質なAptXやAptX HDで繋がります。スマホかイヤホンのどちらかが対応していない場合は下位互換(SBCなど)で再生されます。
SBC(基本)
SBC(Subband Codec)はBluetooth規格を搭載したデバイス、オーディオ機器、ワイヤレス製品のすべてが対応して対応している標準コーデックです。
圧縮率が高いですが、音質はビットレート次第ですが、良くも悪くもないレベルです。
Bluetoothの帯域制限と処理能力から考案されたコーデックで、中ビットレートでは比較的安定した音質レベルが得られるように設計されています。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は16bit / 48kHz ・レイテンシ(遅延)は220ms(±50ms)
AAC(主にiPhoneユーザー)
MP3の後継となる音声圧縮方式でAppleが採用しているコーデックです。圧縮率はSBCとほぼ変わりませんが、音質はAACの方が高音質です。iPhoneやiPadはこの方式で繋がります。
イヤホンを買うときにはAACに対応しているのか確認するだけなので簡単です。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は16bit / 48kHz ・レイテンシ(遅延)は128kbps時で120ms(±30ms)
AptX(主にAndroidユーザー)
Androidに採用されているコーデック。AACと比べると圧縮率は低いですが音質は、より高音質です。
Androidを使っているならAptXで音楽を聴きたいですね。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は16bit / 48kHz ・レイテンシ(遅延)は70ms(±10ms)
AptX LL
AptX-LL(AptX low latency)は、aptXにおけるパケット処理を効率化(FastStream)し遅延が少ないコーデックです。音ズレが気になってしまう映像音声や、音が大事になるゲームには必須のコーデックになっています。 ただし、対応するデバイスが少なくそこまで普及していません。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数はaptXと同じ16bit / 48kHz ・レイテンシ(遅延)は40ms未満
AptX HD
AptXの高音質版コーデックです。 サンプリング周波数 48 kHz、量子化ビット数24bitの高音質伝送に対応しています。最大576kbpsの固定ビットレートのため処理の負荷が多いため普及が進まなかったのですが、Android8で対応したため、以降急速に普及しています。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は24bit / 48kHz ・レイテンシ(遅延)は約130ms
AptX Adaptive
aptX-HD の安定・低遅延版コーデックです。aptX-HD は、最大576kbps の固定ビットレートでしたが、280kbps〜420kbpsの可変ビットレートにすることで高ビットレートの高音質コーデックではよく起こってしまうプツプツ途切れを、電波状態やデータ量に応じて、転送ビットレートを調整することによって起きにくくする機能が売りになっています。 低遅延も実現しているためaptXの次世代コーデックと呼ばれています。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は24bit / 48kHz(現在は24bit / 96kHzに拡張) ・レイテンシ(遅延)は50〜80ms
そのほかのコーデック
LDAC
ハイレゾ対応のソニーが作った超高音質なコーデック。
転送ビットレートは、3段階に分かれていて、音質優先、接続優先モードなどから選ぶことができます。音質優先にすると転送する情報量が多い分、遅延が大きくなります。
LHDC
ハイレゾ対応の低遅延・高精細なコーデック。SBCと比較して約3倍以上のデータ伝送が可能になっています。サンプリング周波数は最大96kHz、量子化ビット24bitをサポートしています。しかし、ほとんど普及していません。
Samsung Scalable Codec
サムスン独自のBluetoothコーデック。
Galaxy7以降のサムスン製スマートフォンやGalaxy Buds+などのイヤホンで採用されています。
Android7.0以降をサポートするサムスン製モバイル機器では、ストリーミング再生中の損失を補完して元の音質に近づけるUHQオーディオにも対応しています。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は最大24bit / 96kHz ・より遅延の少ないゲームモードを搭載しています。
HWA(High-Res Wireless Audio)
ファーウェイが発表したコーデックで、Savitechが開発。LHDC(Low latency and High-Definition audio Codec)をベースにしています。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は最大24bit / 96kHz
UAT(Ultra Audio Transmission)
Hiby Music(ハイビィミュージック)が開発した超高音質コーデック。現在はHibyMusic製品限定。
・量子化ビット数 / サンプリング周波数は最大24bit / 192kHz、ビットレートは最大1.2Mbps
Bluetooth5.2(LE Audio)で対応するのはLC3
最近話題になっているBluetooth5.2の新機能LE Audioですがコーデックの部分はLC3という規格です。
LC3
LC3というのは“Low Complexity Communication Codec”の略です。
ドイツの研究機構であるFraunhofer IIS(フラウンホーファー)が通話用のコーデックを発展させる形で開発しました。LE Audioでは従来のSBCに変わり標準コーデックとして採用されています。
このコーデックを決めるにあたり、Bluetoothで使う上でライセンスフリーであることを前提に貢献してくれる技術はないかと募集した結果、Fraunhofer IISが名乗りをあげた経緯があります。
遅延は約60msecとAptX並になるといわれています。音質面でもLDACに劣る可能性が高いです。音質が良いからとの謳い文句に誘われて無理に買い換えるほどではないです。
まとめ
AirPods Proでも実はSBCとAACの2種類にしか対応していません。
iPhoneやiPadならほとんどのイヤホンがAACで繋がるので気にすることは無いと思います。
AndroidならAptX LL、AptX HD、AptX Adaptiveの3つ辺りから用途に合わせてワイヤレスイヤホンを選ぶ基準になりますね。
PCなどで使う場合は機材やイヤホン、ヘッドホンを選ぶ際に知っていると便利なのでなんとなくでも頭に入れておきましょう。
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